フレームワーク思考とは、
『こんな時にはどんな風に考えれば上手くいくのか?』
を体系化させた思考法です。
言い方を変えれば、遠い昔から人々が試行錯誤をして築き上げてきた、
『この問題には、こう考えて対処しましょう!』という”虎の巻”だと言うことも出来ます。
そのため、フレームワーク思考は、特に『問題解決』に対して効果を発揮してくれると言えます。
世の中には、様々な『問題解決』の考え方・手法がありますが、
その根本をたどっていけば、必ず1つの『フレームワーク』に行き着きます。
今回は、世の中には溢れている『問題解決』テクニックの大元となっている
『空ー雨ー傘ー紙』というフレームワークをご紹介します!
このフレームワークをマスターすることで、
あなたは様々な問題に対して、どのように取り組めばいいのかが分かるようになります。
また、『空ー雨ー傘ー紙』のフレームワークの構造(仕組み)が分かれば、
世の中で出回っている『問題解決』の道具がどんな構造になっているかも分かるようになるでしょう!
そういう意味でも『空ー雨ー傘ー紙』は、
フレームワーク思考における基礎・基本となるものなので、ぜひマスターしてくださいね!
問題解決のための4ステップ
『空ー雨ー傘ー紙』って何のこと!?
そんな風にあなたは思うかもしれません。
なんてたって、
『◯◯の▲▲理論』とか、『□□の法則』とかならまだしも、
『空ー雨ー傘ー紙』だなんて、ネーミングがかっこ悪いですよね!?(笑)
そもそも、『空ー雨ー傘ー紙』というのは、
『突然の雨に降られても、もう濡れないでおくにはどうすれば良いか?』
という問題解決のお話から生まれたフレームワークです。
どんなお話かというと・・・
あなたは今までに突然の雨に降られて、土砂濡れになって散々な目にあった経験があるとします。
そんなあなたは、『もう突然の雨に降られても、濡れたくない!』と決心しました。
この時、あなたならどう行動するでしょうか?
まずあなたは、出かける前に『空』を見上げるでしょう。
雲行きはどうかな?このままいくと、どんな天気になりそうかな?
そんな風に『空』を見上げて、あなたは、これは『雨』になりそうだ!と判断したとします。
『雨』が降ると判断したのだから、次にあなたはするべきことは、もちろん対策を考えることです。
雨が降りそうだから、『傘』を持って出かける必要がある!そんな風にあなたは考えます。
ただ、出かけるにはまだ時間があるので、このままだと傘を持って出かけるのを忘れそうです。
じゃぁ、どうすれば確実に傘を持って出かけるという対策を実行できるかな?あなたアイデアを考えます。
そして、あなたは、確実に傘を持って出かけられるように、
自分のカバンの上に”傘を持って出かけるように!”という『メモ=紙』を置いておきました。
この一連の行動を通じて、あなたは外出先で突然の雨に降られても、
傘を取り出すことができ、ずぶ濡れにならずに済んだのです!
このストーリーの中で行動の転機となる場面を取り出してフレームワークの名前にしたのが
『空ー雨ー傘ー紙』なのです。
ここまで読んで頂いて、少しはイメージしてもらうことができたでしょうか?
でも、『空ー雨ー傘ー紙』の名前の由来は分かったけど、
結局、このフレームワークをどうやって活用して行くのがわからないかもしれません。
では、次に、『空ー雨ー傘ー紙』のそれぞれの要素が実際には何を示していて、
そこではどんな行動をすることが必要なのかを説明していくことにしましょう!
Step1;空
まず1つ目の要素は『空』です。
『空』における行動を定義すると・・・
『問題に対するファクト(=情報・事実・客観的データ)を収集する』
と言うことができます。
先ほどの例ならば、空を見上げて、空の状況・雲行きといった情報を収集していました。
もちろん、目で見るだけではなく・・・
テレビの天気予報を確認する・スマホのアプリで天気図の変化をチェックするなどの行動も『空』にあたります。
もちろん言うまでもないですが、ここで集めるファクトは客観的なデータある必要があります。
間違っても、自分の母親の
『私の勘やと雨降るかもしれへんでー!』
という言葉を鵜呑みにしてはいけません(笑)
Step2;雨
2つ目の要素は『雨』です。
『雨』では『空』で収集したファクトを分析し、
『これらのファクトから何が言えるのか?』、
『だからなんだっていうの?(=why?)』、
という問いに対して答えを出す作業を行います。
『たくさんの情報を集めたわよ〜!』、
『あー、私よく頑張ったなぁ!エヘヘ(笑)』、
では目の前の問題はなにも解決しません。
目の前の問題が大きければ大きいほど、集めるファクトは多くなるかもしれませんが、
ファクトは分析を行ってはじめて価値を持つのです!
Step3;傘
3つ目は『傘』です。
この『傘』では、ファクトの分析を『雨』で行ったものに対して、
『じゃぁ、それに対して何をするの?(=what?)』
という問いに答える作業を行います。
ここで大切なのは、短絡的に答えを出すのではなく、
様々な選択肢を検討し、比較して最善の対策をとることです。
雨が降るのだとして、
『あっ、傘持っていこー!』では、あまりに短絡的です。
使う傘は、長傘なのか、折りたたみ傘なのか?
傘ではなくレインコートを使うことは有効ではないのか?
雨に濡れないで外出する交通機関はないのか?
などなど様々な選択肢を考慮し、その中から最善のものを選択する必要があるのです。
悩むくらいなら、最初から折り畳み傘をカバンに入れておけば?
というツッコミもきこえてきそうですが・・・
ここでは『雨が降ったらどう対策をとるか』という
簡単な問題なので、すぐに答えが見つかりますが、
問題が複雑で解決に時間がかかるようなものであるほど、
この『傘』の段階で、さまざまな対策を検討する意味が出来てきます。
Step4;紙
最後の4つ目は『紙』です。
『傘』の段階で、『雨』に対してどんな対策をとるのかの答えを出したので、この『紙』の段階では、
『じゃぁ実際に、どうやってその対策を行動に移そうか?(=how?)』
という問いに対して答えを出す作業を行います。
どんなに素晴らしい問題解決案も具体的な行動に落とし込まなければ、全くもっと意味はありません。
よく事業所などで『企業理念・『スローガン』・『目標』などといった名称で、
『患者様・利用者様に喜んでいただけるように、医療・介護で連携しましょう!』などが掲げられていますが、
これらはあくまで、その事業所がどんなことを目指しているかがわかる程度のもので、
『じゃぁ、そのために具体的にどうするの?』という『紙』の段階が抜けています。
あなたの職場では、どうでしょうか?
年間目標・月間目標はあっても、
それをどうやって達成するかに関して、スタッフ間で共有が出来ているでしょうか?
もし、『紙』の段階が抜けていると感じた場合、ぜひ、
『そのスローガン・目標は達成されているのだろうか?』
と考えてみてください。
きっとあなたは、
そういったスローガン目標は、形だけのものになってしまっていて、
みんなの心の奥深くに根付いていないことに気づくでしょう。
この状態では、いつまでたっても”問題解決”なんてできるはずないですよね?
この4つのステップがフレームワーク思考の基本になる!
ここまで見てきた『空ー雨ー傘ー紙』がフレームワーク思考の基本的なプロセスです。
大きく分けると、
『空』・『雨』で直面している問題の本質を掴み、
『傘』・『紙』で問題の解決策を立案する
という流れになります。
ここまでの理解は大丈夫でしょうか?
大切なことは、『空ー雨ー傘ー紙』のすべてのプロセスが連なって意味をなすということです。
『紙』に行き着くまでに満足感を覚えてしまったり、どこかでプロセスが止まってしまうと、
それまでの苦労が台無しになってしまいます。
つまり、『ファクト」を実際の『行動』に落とし込んでこそ、
『空ー雨ー傘ー紙』は問題解決のフレームワークとして効果を発揮するということです!
『空ー雨ー傘ー紙』というフレームワークを学んでも、いきなり使いこなうことは難しいかもしれません。
そんな時は、あなたの身近な問題から、
『空ー雨ー傘ー紙』のフレームワークに当てはめて、考える癖をつけてみてください!
きっと、あなたの中で情報や解決策が入り混じってモヤモヤしていた頭の中が
スッキリと整理されるのを実感できるはずですよ!