『紙』を使いこなすために

 

 

当サイトでは、問題解決の基本となるフレームワークである『空ー雨ー傘ー紙』を紹介しています。
この『空ー雨ー傘ー紙』はシンプルであり、誰でも使いこなせるものなのですが、
シンプルであるがゆえに、使い方を間違ってしまうと、効果を生み出すことができなくなるリスクがあります。

 

当サイトでは、『空』・『雨』・『傘』の各プロセスにおいて、
どういった点に注意しなければいけないのかを説明してきました。

 

そして、今回は、その『空』・『雨』・『傘』の各プロセスを乗り越えてきたあなたが
最後に取り組むことになる『紙』に関して、その注意点や落とし穴をご紹介したいと思います

 

『紙』の段階を乗り越えれば、『空ー雨ー傘ー紙』のフレームワークは完全にあなたのものになります!
ぜひ、ここでもあなたの学びを深めてくださいね!

 

『ガンバロー』では現場は動かない!?

 

あなたが『紙』の段階に到達したということは、
今までに、
『問題解決に向けての情報収集』、
『集めた情報(ファクト)の分析』、
『分析を基に、私たちがするべき行動の提言』
を行ってきたということです。

 

ここまでやってきたあなたが次にやるべきことは、
現場のスタッフが
『確かに、この行動を積み重ねていけば、問題が解決するよね!』と実感でき
納得した上で行動に集中できるようなアクションを作ることです

 

当たり前のことですが、
『ツベコベいわないで、やりなさい!』と命令しても、
『とりあえずガンバロー』と励ましてみても、
現場のスタッフは動いてくれません。
たとえ、動いてくれたとしても、スタッフの心までは動かすことができないので、
『仕事で成果を出そう』という雰囲気を作ることができないでしょう。

 

だからこそ、『傘』の段階で『やるべきこと』が明確になったら、
それを実際に行動に移す際に
『どうやったら現場スタッフが動いてくれるのか?』
『スタッフが不安に思うことはないか?』
『アクションを実行するためにどんなサポートが必要か?』
といった点を1つ1つ自問自答し、
現場を動かす上での”足かせ”となりそうな要素を潰していかなければならないのです。

 

 

 

しかし、ここで問題が起こります。
現場を動かしていく上での“足かせ”は、あなたが考えているよりも大きく、複雑なのです…。

 

そこで、次に『紙』の段階を進める上で、もっともあなたの頭を悩ませることになる
『なぜ、現場スタッフは動いてくれないんだろう?』
という疑問に対して代表的な原因をご紹介しましょう!

 

スタッフが動いてくれない原因をあらかじめ知っておき、想定しておくことで、
この『紙』の段階で起こるであろう問題に対して、事前に対策を練ることが出来るようになりますよ!

 

 

なんで現場が機能しないんだろう!?

実際に『紙』の段階になって、現場のスタッフが動かなかったり、思うような成果を上げてくれないのには、
大きく分類すると3つの理由があります。

 

あなたが『紙』の段階で立ち止まってしまった時、
これから『紙』の段階を進める上で、あらかじめリスクを予想しておきたい時などに、
これから紹介する3つのポイントを思い出してみてくださいね!

 

『新しいこと』って怖くない!?

まず1つ目が『新しいことを始めるのって、なんだか不安だわ』という現場スタッフの気持ちです。

 

新しいことを始めることは、(なんでもそうだと思いますが、)今までの慣れ親しんだ『やり方・あり方』を変える必要があり、
その過程では、変化を起こすための『エネルギー・労力』が必要となります。

 

この『変化』と『エネルギー・労力の発生』を現場は嫌がる傾向にあります。

 

 

 

そりゃ、『新しいことなんてやらずに、今まで通りで良いのよ!』と言われたほうが楽ができるので、
現状に甘んじていたいと思うのが人間の性(さが)かもしれません。
でも、それを許容していては、あなたが抱えている問題は解決しません。

 

ここで大切なのは、現場のスタッフから
『えぇぇー!?新しいこと始めるのは嫌ですよ!』
という反応があっても、現場のスタッフのことを否定してはいけないということです。
あくまで、
『ああ、人間ならそう反応するのが当たり前だよね』
と受け止めてあげることです。

 

ここで、あなたが
『何ぃいい!?なんで言われたことをやらないんだ!?』
と現場スタッフに対して怒ってみても、何も変わらないどころか、
最悪の場合、現場スタッフとの関係性を悪くしてしまうリスクさえあります。

 

現場スタッフの心理的な抵抗に対して、あなたができることは、
『新しいことを始めることで、得られるメリット』
『新しいことを始めることで、生じるデメリット』を隠さずに、伝えた上で、
『新しいことを始めることで得られるメリットがデメリットを上回っている』ことを納得してもらうことです。

 

現場のスタッフは、論理的に考えた上で『変化』を拒否しているのではなく、
新しい変化に対して反射的に拒否反応を示しているケースが多いので、
彼らが”頭”だけでなく”心”から納得できるように、話し合うことが必要となってくるのです。

 

今までのシステムにしがみつきたい人たち

次に『紙』の段階での2つ目の障壁は、『今までのシステムにしがみつきたい人たち』です。

 

この人たちは、少々厄介です。
1つ目の障壁の人たちは、『えー!新しいこと始めるの、なんかヤダ』と感覚的に拒否反応を示した人たちだったのですが、
この2つ目の障壁となる人たちは、明確な理由をもって『新しい変化は嫌だ!』と言っている人たちです。

 

あなたがより良い変化を起こそうとするということは、裏を返せば、
そこに今までは不都合な事柄がそこに存在していたということです。

 

そして、明確な理由をもって変化を嫌がる人たちは、
その不都合な事柄に隠れて甘い蜜を吸っていた人たちだったりします。

 

それは、
『サボる時間ができてラッキー!』というものかも知れませんし、
『新しい創意工夫をしなくても業務ができて楽チン♪』というものかもしれません。
いずれにしても、そんな風に、現状のシステムにメリットを見出している人たちだからこそ、新しい変化を拒否するのです。

 

 

 

基本的には、この人たちにも先ほどの人たち同様に、
変化によるメリットとデメリットを理解してもらい、変化に対して納得してもらうしかありません。

 

しかし、この人たちは現在のシステムにメリットを感じているので、心を動かすことは簡単なことではありません。
なので、次に打ち出す手は、彼らを変化させたいシステムから外れてもらうことになります。

 

あなたが駆け出しの管理者だとすれば、それは簡単な仕事ではないかもしれません。
そんな時は、共通の上司を動かすことをお勧めします。
今のあなたには難しくても、人事や仕事の分配により強い権限を持っているあなたの上司になら、
2つ目の障壁となる人たちを取り除く力があるからです。

 

ただ、むやみやたらと上司を動かしていては、『虎の威を借る狐』状態になり、
あなた自身の経験や信頼には繋がらないので、多用することは禁物です!
あくまで、
”自分は正しいことをしている。それでも、甘い汁を吸いたくて、変化することに抵抗してくる人達がいる”
という場合に、この手を使うことにしましょう!

 

組織に守られていたい人たち

最後に3つ目の『紙』におけるあなたの抵抗勢力は、『組織に守られていたい人たち』です。

 

”組織に守られていたい人たち”とは・・・
『えー!余計なしごとはしたくないよー!』
『仕事で責任を負いたくない!』 
『今のままの気楽な立場を守りたい!』
と考え、さらに『面倒な仕事はお断りだけど、このまま組織に守られていたいなぁ』と願っている人たちのことです。

 

彼らは『組織のぬるま湯に浸かりながら、守られていたい』と考えるので、
失敗に対して必要以上にあなたを非難してきます。
また、責任感を持つことを嫌がるので、
新しい変化を起こそうとするあなたのことを邪魔してくることがあります。

 

先ほど紹介した2つの障壁となる人たちは、拒否反応を示すだけでしたが、
この”ぬるま湯に浸かっていたい”人たちは、あなたの邪魔をしてくる点において、最も厄介だと言えます。

 

 

 

また、こういった考えをチャレンジすることを忘れた中間管理職が持っていると、
これ以上に大変なことはありません。
中間管理職として、ある程度の権限と政治力があるので、
あなたが起こそうとする新しい変化をよく思わず、潰そうとするケースもあるかもしれません。

 

でも、だからと言って、
『ろくに仕事もしないで文句ばかり言ってるんじゃないわよ!このバカ上司!』
上司に反抗してはいけません。

 

この場合必要なのは、こういった人たちの邪魔が入らないやり方で、新しい変化を起こすことです。
具体的には、組織全体を巻き込んだ変化を起こす前に、
小さくプロジェクトを開始し、そこで成果を出す・ノウハウを構築するなどをすると良いでしょう。

 

もしくは、『ぬるま湯』な人たちよりも”上”の立場にいる人にプロジェクトを指揮してもらい、
そもそも邪魔をしにくい状況作るのも手かもしれません。

 

いずれにせよ、『ぬるま湯』な人たちは、何が何でも抵抗してやろうという人は少なく、
新しいことを始めることにリスクを感じているだけであることが多いので、
彼らに対して、変化にはメリットがあると認識してもらえたら、あなたの味方になってくれたりします。

 

私自身、介護保険の改定に対応するために、リハビリサービスの提供方法を変更したい、
そのために介護スタッフの協力を得たいと考えて、介護スタッフの方に提案しましたが、
『現場は、利用者さんの対応で手一杯!』
『私たちには経験がない!』
『今は感染症の対策に追われてて時間がないの!』
と様々な理由をつけて断られてしまいました。

 

 

 

普通ならここまで散々と断られると、心が折れてしまうところですが(実際、私はだいぶ心が折れましたが・・・)、
ここで諦めるわけにはいきません。
なにより、『あー!これが”ぬるま湯に浸かっていたい”人たちの反応なんだ!』と客観的にとらえることで、
冷静になることができ、挫折せず対策を立てることができるようになりました。

 

あれこれ考えるよりも、まずはやってみる!

ここまで、『紙』という実行プランを練って行動していく段階において、
あなたの前に立ちはだかるであろう、心理的な障壁、スタッフや組織における障壁を紹介してきました。

 

あなたが、何かのプロジェクトに取り組んでいるなら、ここまでの説明を読んで、
『あー、あれって、アルアル!!』と共感してもらえたり、
『これって、あの人のことだよなぁ…』
誰かの顔をが浮かんできたかもしれません。

 

たとえ、あなたの目の間にどんな障壁が待ち構えていようとも
、『紙』の段階まで来たあなたに出来ることは、もう、1つしかありません。

 

それは、『プランを実行に移すこと』です。

 

机の上で『これで本当に大丈夫かなぁ・・・』と頭を悩ませてみても、
実際に大丈夫かどうかはやってみないと分からないのです。

 

むしろ、『不安はあるけど、まずは出来るところからでもやってみよう』と見切り発車で始めてみて、
プランを進める過程でトライ&エラーを繰り返していく方が、結局は結果に繋がります。

 

私自身、『まず、やってみるか!』と始めたものの、
上記に挙げた様々な障壁に立ちはだかれて、失敗に終わったプロジェクトがいくつもあります。
しかし、大切なのは、失敗の中でトライ&エラーを繰り返し、自分自身が成長し、
次のプロジェクトを成功に導くための基礎を作っていくことなのです。

 

あなたも、まずは自分の動ける範囲から行動を始めてみましょう!
『動きながら修正すれば良いんだからっ!』くらいの気持ちで始めてみることが大切ですよ!

 

 

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