マーケティングにおいてお客様に見せるべき未来

どんな未来を見せれば人は動くか

 

お客様へのプロモーション活動をする際や職場での部下や後輩への指導をする際に、
私がいつも考えていたことがあります。

「どういう表現をして想いを伝えれば、人の心は動くんだろう?」

という疑問です。

『このサービスはとにかく素晴らしいんです!騙されたとおもって、サービスを購入してください』といっても、
お客様は誰も信じてくれません。

また、上司としての権力や先輩としての立場を利用して、力づくで人を動かすことはもちろん可能ですが、
それは本質的に心が『動いた』のではなく、無理やり『動かした』だけなのです。
実際、上司の立場を利用して部下を駒のように動かしている人を私は知っていますが、
たとえその場では人が動いても、結局は部下がその人を尊敬し、信頼してくれないので
その人が率いるチームのパフォーマンスは低いなと感じています。

マーケティングの業界では、この『どんな表現をすれば人の心が動くのか』という質問に対する一定の見解があります。

私はそれを学び、実際にその知識(フレームワーク)を活用することで、
以前よりも『人の心に響く』言葉の使い方ができるようになったと感じます。

この知識は、あなたが現場で渉外活動を行ったり、部下のマネージメントをする際にも活用できるものなので、
ぜひ知ってもらいたいです!

そこで、今回は『どんな表現をすれば人の心は動くのか』というフレームワークをあなたにご紹介しましょう。

今すぐ人を動かすなら、恐怖の未来を見せる

マーケティングにおけるセールスメッセージとして一番強力な手法が、
『もし、購入しなかったら、どんな不利益があなたに起こるか』を知らせることです。
つまり、お客様に『恐怖の未来』を見せるのです。

「あなたはこのままで良いんですか??」
「あなたが見ないふりしている〇〇・・・放置しておくと、△△になりますよ!」
「もしかして、まだ□□してますか?それは現代医療では間違った手法なんですよ!」

こんなメッセージを通販番組などであなたも見たことがあるでしょう。
これらは、『恐怖の未来』を見せる手法を用いた表現方法です。

なぜ、これらの表現が有効なのかというと、
お客様は『買うことのメリット』より『買わないことのデメリット』に反応するからです。
実際に、マーケティング業界では『人間はメリットを得る事よりも、デメリットを回避することに動機付けされやすい』
というのがフレームワークになっており、その事実に基づいて商品のキャッチコピーなどが考えられています。

 

では、なぜ人間は『デメリットを回避する』ことに動機付けされやすいのでしょうか?

それには、人間が長年培ってきた生存戦略が関係しています。

人間には太古の時代から、「命を守るためにはどうすれば良いのか」という課題がありました。
他の動物に比べて圧倒的に身体的な不利があったので、
これは人間が生存し繁栄していくために何としても解決しなくてはいけない課題だったのです。

人間は長時間をかけて課題解決の方法を探しました。
その結果、導き出されたのが
「危険を冒して冒険をする必要はない。『今』の時点で命が無事ならば、『今』のままを維持するのが一番良い
という結論です。
この結論に従い、人間は『出来る限り現状を維持したい』という生存戦略を選択したのです

 

そして、この生存戦略に基づいて、人間はホメオスタシスという生理機能を発達させ、
出来るだけ現状を維持し、「安全」を第一にするという精神状態を作り上げてきたのです。
(※ホメオスタシスとは、生物および鉱物において、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のこと)

話を元に戻すと、『デメリットを回避することに動機付けされる』というのは、
『現状が損なわれないように行動する』という人間特有の生存戦略に由来するものだと言えます。

「今のままでいいいんですか?」
「このままだと、大変なことになりますよ?」

というメッセージは人間の本能である生存戦略に訴えかける表現であるがゆえに、
パワフルであり、このメッセージを受け取った人は、すぐに行動を取りたくなるのです。

恐怖の未来は劇薬

このフレームワークを利用して、
私もリハビリを受けようか迷っておられる方には、

「リハビリの必要性を感じにくいのはわかります。でも、私たちは〇〇さんの今の生活が続けられるように支援したいと思っているんです。確かに今よりも早く歩けるようにならなくても良いのですが、今出来ていることが出来なくなると、〇〇さんの一人暮らしを続けたいという希望がかなえられなくなると思うんです」

といった感じで、「『今』が悪化しないように、『今』を維持できるようにリハビリをしませんか?」と提案するようにしています。

実際に、そのように話した方が利用者様の心が動く事が多いと感じています。

とはいえ、このフレームワークを用いる時にひとつ注意があります。

『未来の恐怖』を強調すればするほど、メッセージの効果は高くなりますが、
その分、メッセージを発信した人の心象がどんどん悪くなるのです

そのため、『未来の恐怖』を見せるなら、
どんな言葉を選ぶかに細心の注意を払い、多用しすぎることのないようにしなくてはなりません。

先程のリハビリを提案する例でいえば、
「〇〇さん、あなたこのままで良いんですか?このままだと歩けなくなるし、一人でトイレにも行けなくなりますよ!お風呂にも入れなくなったら、不潔になりますよ。そうなったら遠方に住む家族さんがあなたの面倒を見なくちゃいけなくなりますよ。それでいいんですか?」

なんて言われたら、たとえ理論は正しくても、利用者様は私たちからサービスを受けたいとは思わないはずです。

このように、『未来の恐怖』を見せる表現は、効果が強い反面、取扱いに注意が必要であり、
マーケティングの業界では、『劇薬である』と比喩されるほどです。

 

出来る限り未来の希望を見せよう

『未来の恐怖』を見せる手法は劇薬であるがゆえに、
使えば使うほど、使用者のブランドをボロボロに失墜させます。

そのため、『未来の恐怖』に対抗して『未来の希望』を見せる手法も使用されます。

「今、〇〇を始めることで、△△することが出来るようになりますよ!」
「勇気を出して、□□を始めれば3年後にあなたは××になっているでしょう」

このような表現が『未来の希望』を見せる表現になります。
これは、『未来の恐怖』と比較すると効果は劣りますが、メッセージ発信者のブランドイメージを傷つけることはありません。

この『未来の希望』を見せる表現は、商品のプロモーションだけでなくコーチングを行う際にも有効です。

『君の目標は〇〇なんだね。では、〇〇は将来、君にとってどんな意味を持つのかな?』
『今は、△△に取り組もうって決めたよね。△△を続ける意味ってどういうものなのかな?』
私は、部下や後輩のコーチングを行う際に、このような表現で質問をします。

このように質問されると、コーチングされる側は、
『目標が未来にもたらすモノ』や『現在の努力を積み重ねることが、将来どんな意味を持つのか』を明確にすることができ、
『未来の希望』を自分で感じることが出来るようになります。
目標や努力が『未来の希望』に繋がっているのだと納得できれば、
それが目標達成に向けて行動を継続するモチベーションにもなります。

相手と状況に応じて表現を使い分けよう

今回は、「人の心を動かすにはどんな未来を見せれば良いのか」というフレームワークを紹介しました。

ここまで見てきたように、『未来の恐怖』も『未来の希望』もそれぞれにメリット・デメリットがあります。

私はそれらをふまえた上で、
今すぐ相手に動いてもらう必要がある場合には「未来の恐怖」を
相手が納得してから動いてもらいたい場合には「未来の希望」を表現するようにしています。

特に、人を相手に行うコーチングでは、出来る限り「未来の希望」を大切にしています。
また、どうしても、『未来の恐怖』を使う必要がある場合には、
『未来の恐怖』を薄めて「現状を維持できなくなる危機感」に翻訳して伝えるようにしています。

あなたが、『どっちの表現を使った方が良いのだろう』と迷うことがあったら、
『未来の希望』を見せることから始めると良いと思います。
『未来の希望』を使った見たうえで、プロモーション効果やコーチング相手のパフォーマンスが変化するかを評価し、
必要に応じて「未来の恐怖」も使うようにすると良いでしょう!

私もまだまだ修行中ですが、
今回紹介したフレームワークを用いて、あなたも私も相手の心に響く表現ができるようになりたいですね!!

 
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