課題の分離について

あなたが悩んでいる問題は、本当にあなたの問題か?

 

あなたは悩み事が多いタイプですか?
それとも、悩みごととは無縁で、お気楽なタイプの人ですか?

悲しいことに私は、まさに前者のタイプで、いつも何らかの悩み事を抱えている人間でした。
あれやこれやと色々考え込んじゃって、辛くなって、精神的にボロボロ・・・なんてこともしょっちゅう・・・。

悩み事が解決したと思ったら、次の問題が発生!?』

一難去ってまた一難だわー!!!』っていう激動の中で生きていました(汗)

 

でも、アルフレッド・アドラーの提唱する『個人心理学』の考え方を知ってからは、だいぶ悩み事が少なくなったのです!

今回は、個人心理学の中でも、人間関係の悩み事をスッキリさせ、シンプルに人生を生きていくのに役立つ
『課題の分離』というフレームワークをご紹介したいと思います!

『課題の分離』を知り、活用し始めると、状況は変わらなくてもあなたの人生はどんどんシンプルになっていき、
あなたが本当に取り組まなければならない課題に対してのみ意識を集中することができるようになりますよ!

人生の課題は原則として、本人が解決する

アドラーは、なんらかの課題(問題)に直面した際は、
『これは誰の課題(問題)なのだろうか?』と考えることを提唱しています。

別の表現をすれば、
『この課題(問題)がもたらす結果を最終的に引き受けるのは誰か?』を考えなさいと言っています。

アドラーが提唱しているように、なんらかの問題を前にして、 『で、結局、これって誰の課題なんだろう』と考えて、

『あっ!これは私自身の課題だ!』

『おっ!これは、私じゃなくてあの人の課題だわ!』と、

その問題が誰のものかを仕分けていくことを個人心理学では『課題の分離』と言います。

課題の分離の結果、あなたの課題がはっきりしたら、あなたは自分の課題とだけ向き合います。

また、今まで悩んでいた問題が実は「他者の課題」なのだと分かったら、
あなたはそのことに頭を悩ます必要はありません。
要は、自分が本当に向き合うべき課題を明確にするために、課題の分離を行うのです。

例えば、あなたの大親友がパートナーに振られて大失恋したとします。

友人はあなたの前で大泣きして、涙をポロポロ流しながら、
『あんなに大好きな人と別れるくらいなら、生きていけない!』と言います。
そんな親友の姿を見て、あなたも『この人の気持ちを考えたら、私も辛い・・・』と思うかもしれません。

 

でも、『これは誰の課題なのかな?』と課題の分離を行ってみると、
この”失恋して辛い”のは、あなたではなく親友の課題だと分かります。

大失恋に対して、どう向き合うのか、どんな行動をとっていくべきなのかは、あなたの友人のが考えるべきことなのです。
あなたが友人に変わって問題に対処する事は出来ないし、失恋した辛さを引き受ける必要はないのです。

 

アドラーは『他人の課題は切り捨てろ』とまで言っています。

そんなこというと、『なんて、薄情な!?』と思われてしまうかもしれません。
でも、アドラーは他人の課題を引き受けたり、変わってあげたりすることを否定しているだけで、
相手との人間関係を断ち切れと言っているのではありません。

相手の気持ちに共感したり、相手の求めに応じて援助をしてあげたりすることは必要なことであると考えます。

先ほどの失恋の例えで言えば、友人がどれほど傷ついたのか想いを汲んであげたり、
友人がまた立ち直れるように見守ることは、どんどんするべきだということです。

『課題には踏み込まない』が原則!

このように、個人心理学では課題の分離を行ったならば、
『他者の課題には絶対に踏みこまない』というルールがあります。

なぜなら、アドラーは、他者の課題に踏み込む、または自分の課題に踏み込まれることで
対人関係のトラブルは起こると考えているからです。

問題の解決は、その問題が属する人の課題なので、決して『介入』してはならないのです。

他者の課題に介入しない

先ほどの失恋の例えで言えば、相手の悲しみを癒そうとしたり、元気になってもらおうと、 あなたがあれこれする必要はありません。というか、介入してはいけません。

悲しみを癒すのか癒さないのか、どんな方法で、どんな過程をたどって、新しい一歩を踏み出していくのか
それらはすべて相手の課題であり、相手が自分で取り組まなければならないのです。

それ以外にも、誰かが感情的になってイライラしていたとしても、
あなたは『(もう、そんなにイライラを人にぶつけなくてもいいのに)』と思うことはあっても、
『あなたねぇ!そうやってイライラするのを止めてくれる!?』と
怒ったり、態度を改めようと説教したりする必要はありません。

あなたに出来ることは、『そんな風に、怒らないで、落ち着いて話してくれない?』と依頼することだけです。

また、『依頼したのだから、相手は怒るのを止めて冷静になるべきだ』と考えるのも、
相手の課題に踏み込む態度なので注意が必要です。

なぜなら、あなたが依頼した結果、相手が変わるか変わらないかは『相手の課題』だからです。

自分の課題にも介入させない

他者の課題には踏み込こまないという個人心理学の態度を理解して頂けたでしょうか?

ここまで理解して頂けると、次に大切になるのは、
「あなたが他者の課題に踏み込まないように、他者にもあなたの課題に踏み込ませてはいけない」ということです。

私に限らずいろんな人に共通の「あるある」だと思いますが・・・
あなたは親に『こらぁ!いつまでTV見てるの!?さっさと宿題しなさい!(怒)』と言われたことはありませんか?

そして、そんな言われ方をしたら、
『なんだよ・・・。せっかくやろうと思ったのに、もうやる気なくなった!ふんっ!』
と反抗したくなったりしませんでしたか?

実はこの親の言葉は、他者の課題に介入した良い例です。

あなたが宿題をしないことで、翌日に先生に怒られるという結末はあなたに降りかかってきます。
つまり、宿題をしないことの末路はあなたが引き受けるのであり、
あなたがTVを見続けるかどうか、宿題をするかどうかは、あなたの課題なのです。

あなたも、それは薄々気づいていたはずです。
そんな時に、親が土足であなたの課題に介入してきたので、自分の尊厳を傷つけられたように感じ、
怒りの感情を使う事で宿題しない口実ができると考えて、『もうやる気なくなった!ふんっ!』と反抗したのです。

 

ここで挙げた例は、日常のちょっとしたことかもしれませんが、
あなたも私も今までの人生の中で、『自分の課題に踏み込まれる』経験をたくさんしてきているのに気付くでしょうか?

それは、恋愛相談のアドバイスだったり、進路を決める際の親の意見だったり、
上司からのダメ出しだったりする形で、起こります。
これらは、一般的には『相手の事を想っての行為』であると考えられているため、問題視されることはありません。

しかし、個人心理学の観点に立てば、これらはアドバイスの形をした「あなたの課題」への介入であり、
それを許すことは、あなたの『自分の人生は自分で決めることが出来る』という
人間としての尊厳を損なう行為であるとも言えます。

他者の課題とどう向き合うのか?

ここまで見てきたように、アドラーは
『他者の課題には介入しない』『自分の課題を他者に介入させない』
を大切にしなさいと説いています。

『自分の課題は自分で引き受けて、責任をもって課題と向き合いなさい』という教えは比較的理解しやすいのですが、
『他者の課題は、その人に任せて関与するな』という教えは、
なかなかスッと納得することが出来ないのではないでしょうか?

『他人は他人でなんとかするんだから、放っといて良いってこと!?』、

『なんか、冷たくない!?』・・・そんな風に感じませんか?

これらの疑問に対して、
「相手にいつでも課題に立ち向かう上での支援をする用意があることだけを伝えて、見守るという姿勢をとりなさい」
とアドラーは言います。

つまり、頼まれもしないのに口出ししてはいけないのです。
もし、相手が本当に困り果てて『一人では、この課題を解決できない。協力して欲しい』と頼まれた時に、
初めて援助をすればいいとアドラーは考えるのです。

私は、はじめてアドラーのこの考え方に触れた時、
『頼まれた時だけ助けるなんて、アドラーって心が狭いんじゃない!?』と思いましたが、
今では逆だと思っています。

アドラーは、あくまで課題に立ち向かう個人を尊敬し、
『人は自分の力で課題を克服することができるのだ』と信じているからこそ、
介入ではなく援助を、口出しではなく見守りをしようと考えたのだと思います。

アドラーは、人間の尊厳を尊重し、信じたからこそ、『課題の分離』という考えに行きついたのだと、私は思うのです。

あなたは自分の課題にだけ向きあえばいい

今回は、個人心理学でアドラーが提唱した「課題の分離」というフレームワークをご紹介しました。

課題の分離の視点に立って考えるとき、
『私は他者の課題までも、自分の悩みとして抱えていないだろうか』と考えることが、
あなたの悩みごとを激減させる魔法の質問になります。

あなたは、あなたの課題だけと向き合って、他人の課題まで抱え込む必要はないのです。
自分の中にある悩みごと・問題に対して、一つずつ課題の分離を行えば、
あなたが抱えていた荷物は少なくなり、人生はシンプルなものへと変身します。

また、他者からの言葉や介入に惑わされそうになった時でも、

『これは私の課題。』

『アドバイスはありがたく参考にさせてもらうけど、この課題とどう向き合っていくかを決めるのは私自身なんだ。』

と再認識することで、人の意見に左右される事も少なくなるでしょう。

もちろん、課題の分離をすることは、『自分の責任』で自分の課題と向き合うことになります。

誰かのアドバイスをもとに行動していれば、
失敗しても『あの人のいう事を信じたから、失敗したんだ!』とアドバイスした人を責められたかもしれませんが、
そんな言い訳は出来なくなります。

それだけに『課題の分離』は人生をシンプルにする効果がある反面、
活用するには勇気が求められるフレームワークであると言えます。

勇気は確かに必要となりますが、あなたの人生を創ることが出来るのは、あなたしかいません!
最初の一歩は小さくても良いので、出来るところから始めてみましょう!

アドラーが教えてくれた『課題の分離』を活用して、
あなたが自分の人生をシンプルに生きていくお手伝いが出来たのなら、嬉しく思います!

 
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