課題を分離するのに必要な勇気とは

課題の分離ができたら、あなたに出来ることは

 

 

アルフレッド・アドラーは自信が提唱した個人心理学の中で、
対人関係における悩みごとをスッキリさせ、人生をシンプルに生きるためには
『課題の分離』を行わなければならないと教えてします。

 

『課題の分離』とは、問題や課題を目の前にして、
『この問題・課題の最終的な末路を経験し、責任を負うのは誰か』を考え、
「この課題に向き合うべきは、私自身だ!」、
「自分の課題だと思っていたけれど、本当はあの人の課題だわ!」といったように、
課題が誰に属しているのかを仕分けていくことを言います。

 

そして、誰の課題なのかが明確になったら、
自分の課題とだけ真摯に向き合い、他者の課題には介入しないようにします

 

このように課題の分離をし、あなたが自分の課題とだけ向き合うことができるようになると、
他者の課題に頭を悩ますことがなくなります。

 

その結果、あなたを悩ませていた問題が整理され、あなたは人生をシンプルに生きていけるようになる、
とアドラーは個人心理学の中で説いています。

 

 

しかし、ここで問題が生じます。
『課題の分離』の考え方自体は理解しやすくても・・・

 

『自分の課題だけど、他の人は自分の行動をどんな風に思っているんだろう?』
『自分のやり方は間違っているって指摘された・・・。やっぱり、止めた方がいいのかな?』
『これは他者の課題・・・分かっているけど・・・やっぱり口出ししたくなる!!』

 

 

 

のように、周りの目が気になってしまったり、他者の行動に口出ししたくなったりと、
『課題の分離』を実行する際に、様々な悩みが生じてしまうのです。

 

今回は、『課題の分離』のフレームワークを活用するに当たって、
押さえておきたいポイントをあなたは伝えていきたいと思います。
ここでのポイントをしっかりと押さえて、『課題の分離』をあなたのモノにしてくださいね!

 

課題の分離ができたら、あなたに出来る事は

 

まずは、課題の分離を行った後に、『あなた』の課題に対して、どう向き合うべきかを考えてみましょう。

 

課題の分離が出来たら、あなたが自分の課題に対して出来る唯一ことは、
『自分の信じる最善の道を選ぶこと』です。

 

 

ここで大切なキーワードとなるのが、『自分の信じる』という部分です。

 

それを克服する・解決するのが難しいからこそ『課題』なのですから、
自分の課題と向き合って、課題を克服し解決していく過程は楽な事ばかりではありません。

 

そのため、課題を解決するに当たって課題から逃げ出したくなったりするかもしれません。

 

その結果、『本当に私の選択は合っているのかな?』
『他の人は私の選択・行動をどんな風に評価するんだろう?』
自分の考え、選択に対して自信を失ってしまいやすくなります。

 

そして、そんな状態の時に
『やっぱり、あなたの考え方・やり方は間違っているわ!〇〇した方がいいよ!』なんて言われると、
そちらの意見を信じて選択してしまいそうになります。

 

しかし、あなたは思いとどまらなくてはなりません!
なぜなら、それは『他者の信じる』最善を選ぶ行為だからです。

 

他者があなたの課題に口出しするのは、あなたの課題への介入です。
また、他者の言うままに行動することで、あなたの課題の解決を他者に任せるのは、
『課題の分離』が出来ていない態度であると言えます。

 

だからこそ、あなたは他者の意見に惑わされてはいけません。
そして、『他人の意見に惑わされない』と言う事は、
つまり、どんな時も『あなたの信じる最善の道』を選べばなければならないという事です!

 

 

 

自分の道を行けばいいのは分かっているけれど・・・

 

あなたが課題に対して何らかの選択・行動をするとき、
他者の意見や目が気になる気持ちはよく分かります。

 

気になるだけならまだしも、直接誰かに批判されたり、馬鹿にされたりすると心が痛むでしょう。

 

 

でも、ここで考えければならないのは、

 

『あなたの行動をどう評価し、それに対して応援するのか、批判するのかは、誰の課題だろうか?』と言う事です。

 

その答えは、『あなた』ではありません。
その答えは、『他者』です。

 

 

あなたの選択・行動に対して、どう考え、どんな反応をするかは『他者』の課題なのです。
それが他者の課題である以上、あなたはそこに介入することは出来ません。

 

『お願い!私のこと嫌わないで!批判しないで!』と言っても、

 

他者がそのお願いを聞くかどうかは、あなたが操作することは出来ません。

 

あなたは、批判される時には批判されます。嫌われる時には嫌われます。
そこは、あなたがどうこうできる事ではないのです。

 

 

どうにもできないのだから、そこに必要以上に気を使ったり、悩んだりしても仕方ない。
『大切なことは、他者の評価ではなく、あなたがこれからどうしていくかなのだ。』
アドラーはそんな風に考えます。

 

 

課題から逃げ出すと決めたのは、あなた自身

 

そして、何よりもやってはいけないことは、
他者の意見や批判を理由にして、自分の課題から逃げ出すことです。

 

確かに、他者の評価が気になって足がすくんだり、立ち止まることがあるかも知れませんが、
それを理由に課題から逃げることはできません。

 

 

一般的には、『他者に批判されたから、課題と距離を置いたんです』と言えば、筋が通っているように感じます。

 

例えば、『親も友達も、反対するから転職することを思いとどまった』と言った感じです。
聞いていて、不自然な所はないですよね?

 

しかし、アドラーの考えをもとにすると、
『反対・批判する』のは他者の課題、『課題と距離を置く』のはあなたの課題なのです。

 

 

『反対・批判されたから〇〇を止めた』という言葉は一見論理的に見えますが、
本当は、『批判されること』と『〇〇を止める』との間には因果律はないのだとアドラーは考えます。

 

『批判された』結果、あなたが行動を止めたのは、あなたがそうすることを選択したからです。
他者が直接、あなたの選択を強制したのではないのです。

 

あなたが『批判されたからから〇〇を止めた』という時、
単に、あなたは『批判されたこと』を言い訳に採用し、課題から向き合うことから逃げているのです。

 

 

 

また、潜在意識的な観点で考えてみても、
『△△を理由に私は〇〇をやめた』と言うとき、
あなたという存在は『△△』よりも立場が下なのだということを自己暗示することに繋がり、
セルフイメージを低下さえる危険な行為であると言えます。

 

あなたを取り巻く環境がどんな物であれ、やはり、あなたが取るべき態度は
『批判するのは、他者の課題、そこに気を病んでも仕方ない。』、
『私がするべきは私が考える最善の選択をすることなんだ!』と考えることなのです。

 

 

他人の課題が気になっちゃう!?

ここまで、『あなた』の課題に対して、あなたがどう向き合うべきかというポイントを説明してきました。

 

ここまでの理解は大丈夫でしょうか?

 

では、次に、課題の分離を行った後に、『他者』の課題に対して、どう向き合うべきかを考えてみましょう。

 

他者の課題に向き合うときのポイントは?

 

あなたが自分の課題に向き合う際のポイントは・・・

1、『自分の信じる最善の道を選択すること』、

 

2、『他者が自分の課題へ介入することを許さない』

でした。

 

それらをもとに考えると、あなたが他者の課題に対して向き合う時は・・・

1、他者が『自分の信じる最善の道を選択すること』を支援し、相手の選択を信じる

 

2、『他者の課題へは介入しない』

の2点がポイントになることが分かります。
あなたはこの2つのポイントのうち、どちらが難しいと感じるでしょうか?

 

 

一見すると、2の『他者の課題へは介入しない』は難しいように感じます。

 

『部下の仕事の進行状況が遅い・・・あぁー口出ししたい・・・。』、
『子どもが宿題をしない・・・。勉強しなさい!!って怒鳴って注意したい。』
などなど他者の課題に介入したくなる場面は数え上げればキリがないほどです(笑)

 

しかし、『課題の分離』の”数”をこなしていけば段々と
『あっ!これは、この人の課題だ!』、
『私の課題じゃないから、不要な口出ししちゃダメだわ』
と気づけるようになります。

 

その結果、『他者の課題へ介入しない』ことが出来るようになっていきます。(とはいえ、なかなか難しいんですけどね(汗)

 

相手を信じる事が一番難しい

実は難しいのは、1の他者の選択・行動を『信じる』ことです。

 

例えば、あなたの部下に何度も寝坊し遅刻をしてくる人がいたとします。

 

 

普通の会社なら『お前!また遅刻したのか!根性がなっとらん!』と部下に檄を飛ばします。
(私自身、寝坊癖があり、施設長の逆鱗に触れたのは1度や2度ではありませんでした・・・)

 

そして、上司が『次は絶対に遅刻するなよ!寝坊するなら、早く寝なさい!』と指導をします。

 

しかし困ったことに、その部下はまた遅刻を繰り返します。

 

遅刻をする度、上司が『怒る→指導する』を繰り返しますことになるのですが、
その部下に改善が見られないと、徐々に部下に対する信頼が無くなっていくことでしょう。

 

 

では、アドラーが提唱する個人心理学では、この問題をどう考えるのでしょうか?

 

ここでは、まず課題の分離を行います。
遅刻をするのは、あなたではなく『部下の課題』です。

 

あなたは管理者として、部下に遅刻することを注意し、
『再発しないように対策を立てなさい』と伝えることは出来きますが、
部下が遅刻しないように介入することはできません。

 

遅刻することの責任を引き受け、何を考え、どのように行動するかは部下が決めていくことなのです。
あなたにできる事は、部下が自分の課題に向き合っていくのを見守り、必要な時に必要な『援助』を行う事だけです。

 

つまり、課題の分離を行ったときに、
あなたにできる事は『この人なら、自分の力で課題を解決できるはずだ』と信じる事しかできないのです。

 

※アドラーは、一人で課題の解決が難しい場合は、
話し合って他者の協力を得て課題を解決すれば良いと考えており、
課題の分離を理由に他者を見捨てる事を推奨しているのでありません。

 

相手を信じても、相手が変わってくれない!?

ここまでのご理解は大丈夫でしょうか?

 

『他者の課題には介入しない』という原則を基にすれば、ここまでは納得しやすいのですが、問題は、
『部下を信じて見守っているのにも関わらず、部下が相変わらず遅刻してくる場合はどうするのか?』ということです。

 

1度や2度ならば、『私は部下を信じるんだ!』と強い意志を持てたとしても、
そんなあなたの気持ちを裏切るように、部下の遅刻癖が治らない時、
部下を信じるという意思がくじけそうになりませんか?

 

 

実はこれは、『課題の分離』が不十分だからこそ起こってくる問題なのです。
どういうことかというと・・・

 

あなたは『部下を信じる』という決意の先に、『部下が私の想いに応えてくれる』という行動を期待しているのです。

 

あなたが部下を信じた結果、その思いに応えるかどうかは・・・部下の課題なのです。

 

部下を信じた結果、部下は変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。

 

いずれにせよ、あなたは部下の選択や行動を操作することはできません。

 

『私がこれだけ信じているんだkら、応えなさいよ!!』と言うとき、
あなたは課題の分離が出来ておらず、部下の課題に介入しようとしています。

 

『信じた私の想いに応えてほしい』と言うのは、『あなた』自身の課題なのです。

 

 

先程も確認したように、あなたが他者にできる事は『信じる』ことです。
例え、部下があなたの想いに応えても答えなくても、ただひたすらに『信じる』しか、あなたの選択肢はないのです。

 

 

あなたにそれができるかどうか、その勇気があるかどうかが、個人心理学では問われているのです。
アドラー自身、見返りなしに人を”信じ”、対人関係に向き合っていくことを『人生の課題』と呼んでいるほどなのです。

 

『課題の分離』というフレームワークは、理解することは比較的簡単です。

 

しかし、そのフレームワークを活用しようとすると、
必ず『何があっても、あなたは相手を信じ続ける』事が出来るのかが問われます。

 

だからこそ、私はこのフレームワークを活用するためには、『課題を分離する勇気』が必要になると考えるのです。

 

 

 

課題の分離は対人関係のスタート地点である

 

日本における個人心理学の第一人者である岸見氏は、

 

課題の分離のことを『対人関係のスタート地点』であると紹介しています。

 

個人心理学では、『本当の幸福は対人関係の中から生れる』と考えます。
そのため、他者との対人関係をいかに適切に構築していくかを考えるのですが、
その第一歩が『課題の分離』なのです。

 

 

『課題の分離』は

 

『私は私の課題と、あなたはあなたの課題と、向き合う権利(自由)がある。誰も、その権利(自由)を侵すことは出来ない』

 

という前提の上に成り立っています。

 

それは、あなたと他者の間に『尊厳』を認めること、お互いを尊重しあう態度と呼ぶこともできます。
だからこそ、『課題の分離』を行うことは、お互いを尊重しあう人間関係を構築する第一歩となるのです。

 

課題の分離に対する理解が不十分だと、
『課題を分離し、他者を切り捨てるなんて・・・なんだか冷たい感じがする。』と感じてしまいます。

 

しかし、岸見氏は『課題の分離のできた人間関係は、冷たいのではなく、涼しい』と表現されています。
そこにあるのは、よそよそしい人間関係ではなく、風通しの良い人間関係なのだというわけです。

 

 

今回は、アドラーが提唱する『課題の分離』というフレームワークについて、
実際に活用する際に押さえておきたいポイントをご紹介しました。

 

当ページの内容が、少しでもあなたが個人心理学・アドラーの教えを理解するのに役立てば嬉しいです。
理解するのは簡単だけど、実践するには、あなたの『勇気』が試されるアドラーの教え。
私もあなたと一緒に少しづつ学びを深めながら、アドラーの教えを身につけていきたいなと思っています。

 

 

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