体験の言語化が削除・歪曲・一般化を生み出す!

体験の言語化があなたにもたらす3つの問題


人間は、体験を通じて世界を知覚し、その情報を取り込みます。
その情報自体に意味はなく、その情報を言語化(ラベリング化)することで、
体験に名前をつけ、その体験が自分に対してどんな意味があるのかを判断します。

 

このように、人間は意味を持たない『生』の体験を言語に翻訳することで、
体験自体に定義づけを行い、判断を下すことで、世界を経験することができるのです。

実は、この体験を言語化する(=体験を言語に翻訳する)過程において、
私たちは気づかずに3つの問題が生じています

これは、人間の『脳の癖』であり、避けられないモノなのですが、
その人間の『脳の癖』をあらかじめ自覚しておくことで、
ミスコミュニケーションを防ぐことも可能になります。

ここでは、その3つの問題を紹介していきましょう。

問題その1:『削除』

体験の言語化に伴う問題その1は、『削除』です。

人間は、体験を言語に翻訳する際に、その大部分を省略してしまいます。
なぜなら、言語は体験の一部分しか表現できないため、大部分を省略せざる負えないのです。

たとえば、『昨日は大変な一日だったのよ!ちょっと聞いてくれる?』と
友人が愚痴を話したとします。

この時、言語化に伴う削除がされなければ、友人の体験をすべて知るために24時間話を聞かなければなりません。
「昨日は、彼氏にドタキャンされて最悪だった」という話なのに、
「昨日、私は時計のアラームの音で目覚めたの。時間を見ると6時30分だったわ。それでね・・・」
なんて、話された日には、ちょっとげんなりしませんか?

『削除』によるミスコミュニケーションはしばしば起こります。
削除され過ぎて、相手と自分の中で違う場面をイメージしてしまうからです。

たとえば、友人が「昨日はラーメン食べたんだよ!」と言ったとき・・・

そのラーメンの種類は何ラーメンだったのか?(塩?ミソ?とんこつ?しょうゆ?)
どこでラーメン食べたのか?(店なのか?自宅なのか?屋台なのか?)
誰と食べたのか?(ひとり?誰かと一緒に?)  etc...

など様々な情報が削除されているのです。
友人は、自分の体験なので言葉にしなくても体験をイメージできますが、
聞き手であるあなたは、省略された部分を自分のイメージで補うことになり、
まちがった内容で情報を補いイメージするとミスコミュニケーションが起こってしまうのです。

 

問題その2:『歪曲(=思い込み)』

体験の言語化に伴う問題その2は、『歪曲』です。

人間は体験が持つ意味を判断する際に、そこに主観が入ってしまいます。
そのため、現実の解釈にはある程度の思い込みが避けられません。これを『歪曲』と言います。

同じ経験をしても、その解釈は人によって異なります。
たとえば、男の子が女の子に「バーカ」と言ったとして、
その解釈は、女の子によって変わります。

実は、
「バーカ」と言われて傷ついた女の子には、『私は男の子に嫌われている』と判断するプログラムが脳内にあり、
「バーカ」といわれて喜んだ女の子には、『私は男の子に好かれている』と判断するプログラムが脳内にあるのです。

 

この世の中に絶対的な『現実』はありません。
『現実の解釈』が各個人に存在しているだけです。

このように、人間は、自分というフィルターや脳内プログラミングを通じて、現実を解釈・理解するので
体験を言語化する過程で、『思い込み』が生じることは避けられないのです。

問題その3:『一般化』

体験の言語化に伴う問題その3は、『一般化』です。

『一般化』とは、ひとつの事例をすべてのように言語化してしまうことを言います。

医療や介護の現場でよく出会う一般化の例を言えば・・・

「天気の悪い日は、関節が痛みますねぇ」
「気温の変化が激しいと、疲れが溜まりますよねぇ」

などが挙げられます。

上記の例で言えば、「天気が悪い→関節痛」「気温の変化が激しい→疲労の蓄積」は100%の確率で
起こるわけではないのにも関わらず、
あたかも、それがゆるぎない事実であるかのように語られているのです。

これが、一般化です。
一般化は、@強い思い込みがある場合、A相手に同意を求める場合、B自分の意見に自信がない
などの理由から生じるとされています。

また、「いつも」や「みんな」などの表現も、よくある一般化の例であると覚えておくといいでしょう。

男の子が女の子をからかった例で言えば、男の子1人から「バーカ」と言われただけなのに、
強い思い込みのために「私は、いつも皆に嫌われる」
と一般化して表現してしまうことがあります。

 

今回は、体験を言語に翻訳していく過程で生じる脳の癖である
『削除』・『歪曲』・『一般化』について紹介しました。

人と会話する際に、この3つの問題は必ず発生しているのだと
認識した上でコミュニケーションをとり、適宜、足りない情報は何かを考え、
必要時には確認や質問を行いながら、ミスコミュニケーションを防いでいくと良いでしょう。

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