省略を用いたコミュニケーションについて

省略・歪曲・一般化を利用したコミュニケーション:省略

 

脳は体験や知覚を言語化する際に、
「省略・歪曲・一般化」を伴って、体験や知覚の定義づけをしてしまいます。

この人間の脳が行う言語化のクセを利用したコミュニケーション手段が存在します。

今回は、『省略』に焦点を当ててスキルの概要を紹介していきます!
『省略』のコミュニケーションスキルの全体像は以下のようになっています。

では、ひとつひとつを掘り下げて見ていきましょう!

■単純削除

『単純削除』とは、主要な名詞をあえて省略・削除することで、
聞き手がその空白部分を自身の体験に合わせて埋めてくれる
ことを促すコミュニケーションスキルです。

(例1)
『君が今、努力していることは、必ず人生で役に立つよ!』

→『何を努力しているか』が省略されている

(例2)
『あなたが私のサイトで学ぶことを通じて、想像以上のものが手に入りますよ!』

→『想像しているものは何か』が省略されている

いずれの例でも、主要な名詞の具体的な内容が省略されているので、聞き手は勝手に自分の判断で
省略されている内容を補ってしまいます。

美容関係の通販番組など見ていると、
「このサプリメントを使うことで、半年後に驚きの成果が!
と紹介されていて、自分でも知らない間に

「えっ!?まさか10kgの減量に成功・・・とかじゃないよね?」
みたいに想像したことありませんか?

これこそ、『驚きの成果=10kgの減量』と自分の体験に合わせて
省略されている部分を補ってしまった瞬間なんです!

比較削除

『比較削除』とは、比較する基準や対象をあえて省略することで、
省略した基準や対象をぼやかし、聞き手に補足してもらうテクニックです。

(例1)
『この情報教材を購入することで、より効率的に成果を出せるようになります』

→『何と比較して効率的なのか』が省略されている

(例2)
『最高の経験は、チャレンジすることの中から生まれる』

→『何と比較して最高なのか』が省略されている

いずれの例でも、比較する対象が省略されているために、
聞き手が自分の都合の良いように解釈し、省略を補足することになります。

美容のサプリメントの例で言えば、
「最高品質の原料を使用して作りました!」などがこのテクニックになります。

危うく「最高品質なんだったら、そうとう厳選して選んでいるんだろうなぁ!!」と思ってしまいますが、
それは、比較削除のテクニックにはまっているだけです。

多くの場合、画面の右端に小さく『当社従来品と比較して』と書いてあったりします。

 

指示詞の欠如

『指示詞の欠如』とは、「これ・あれ・それ」などの言葉を使い、具体的な事象を省略することで
聞き手に「これ・あれ・それ」の内容を自分で補ってもらうテクニックです。

(例1)
『これは、挑戦した君だけに許された経験なんだよ』

→『これとは何なのか』が省略されている

(例2)
『それはだんだんと自分の中に馴染んできて、上手く使えるようになるよ!』

→『それとは何なのか』が省略されている

いずれの例でも、「これ・あれ・それ」によって具体的な話が述べられていませんが、
その分、そこをどう解釈するかは聞き手にゆだねられているのです。

(例1)『これは、挑戦した君だけに許された経験なんだよ』で言えば、

スポーツ選手なら「これ=記録更新のプレッシャーと克服したときの喜び」と
ビジネスマンなら「これ=営業ノルマを課せられる辛さと、業績を伸ばす快感」と

置き換えて話を受け取ることでしょう。

 

不特定動詞

『不特定動詞』とは、動詞の目的語をあえて省略することで、
目的語を聞き手自身の経験に合わせて補ってもらうテクニックです。

(例1)
『色々と悩むことも多いよね。だからこそ僕たちはコーチングを始めたんだ。大丈夫、君なら出来るよ!』

→『何が出来るのか』が省略されている

この例では、何が出来るかは聞き手が取り組んでいること・悩んでいることなどから
自分の都合の良いように、目的語を補います。

ある人は「私にも、管理者の仕事をこなせるようになる!」と感じたり、
またある人は「私にも、大好きな人に勇気をもって告白できる!」と感じたりします。

 

同じ言葉なのに、省略を補う作業を聞き手にゆだねることで文脈が変わるのは
本当に面白いなぁといつも思います。

名詞化

『名詞化』とは、本来は動詞であるものを名詞化することで、
目的語がなくても、なんとなく文章に説得力をもたせることができるテクニックです。

(例1)
『彼は、あなたに協力的だが、私には批判的なんだよ』

→何を「協力」し、何を「批判」するのか本来は目的語が必要

(例2)
『私の両親は、いつも否定的なんです』

→何を「否定」するのか目的語が省略されている

上記の例では、「協力する・批判する・否定する」など目的語が必要な動詞を
「〇〇的」という形で、名詞化することで目的語がなくても
なんとなく文章に説得力を持たせることが出来るのです。

本来は、「彼は何を批判するの?」と疑問を持たれるところですが、
名詞化したとたんに「たぶん、〇〇について批判するんだろうなぁ」と
聞き手が勝手に判断するようになるのです。

 

動詞の名詞化には『〇〇性』というパターンもあります。

「この薬には、中毒性がある」

などがこれに当たりますが、この例では「何の中毒か?」が省略されているのです。

今回は、『省略』に関するコミュニケーションテクニックについて紹介しました。
様々な要素を省略することで、省略部分を聞き手に補ってもらい、
聞き手の体験に合わせて受け取ってもらうテクニックであることが理解できたでしょうか?

いきなり自分で使うのは難しいので、身近な所でこれらのテクニックが使われていないかを
観察してみてくださいね!!
そして、出来る範囲からこれらのテクニックを試してみましょう!

その中で、あなたの努力が実を結び、より効果的に使えるようになります!
大丈夫!あなたには出来ますよ!!

 
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