脳にとっての想像と現実
突然ですが・・・
「目の前にレモンがあると想像してください。」
「そして、そのレモンのスライスを食べた所を想像してください。」
「想像しただけで、実際にはレモンを食べていないのに唾液があふれてきませんか?」
という実験を今までに聞いたり、実際に試したことはありませんか?
私は、この実験を中学校の理科の時間に教師から言われてやったことがあります。
この実験から何が分かるのでしょうか?
脳は勘違いしやすい
人間の脳には「今起こっていることが、想像なのか現実なのか見分けがつかない」
という特性があります。
私たちは五感を通じて感じ取った世界なのか、イメージの中で感じ取った世界なのかを頭では理解できますが、
脳にとっては、「五感から感じ取ったモノ」だろうと「イメージされたモノ」だろうと、
情報を受け取り処理する過程は同じなのです。
そのため、脳にとっては現実と想像の区別がありません。
「昨日はパートナーと素敵な時間を過ごせて、楽しかったなぁ・・・」
とニヤニヤしている人がいれば、その人の脳にとっては、
今まさに、「恋人と会って楽しい時間を過ごしている」経験を再体験しています。
「ちょっと、聞いてくれる!?私の上司がひどくてさぁ!!」
と怒っている人がいたら、その人の脳にとっては、
今まさに、「上司の不快な言動」を再体験しています。
このように、脳には現実と想像を区別することが出来ず、想像しているだけでも実際に起こったものだと勘違いしてしまう特性があるのです。
脳は「現実と想像を区別出来ない」という特性を活用する!
脳にはこのような特性があることは分かったけど、それをどのように活用するの?
と、あなたは疑問に思うかもしれません。
医療や介護の分野で働く私たちには、なじみがあまりないのですが、
この脳の特性は、ビジネスやスポーツの現場では「目標達成」や「コミュニケーション」の分野で活用され、
様々なテクニックが開発されています。
「目標達成」ではスポーツ現場でのイメージトレーニングが有名です。
たとえば100mを走るイメージトレーニングをすると、
血圧や脈拍のバイタルの変化だけでなく、走る際に用いる筋肉に筋電図上での反応があることが知られています。
イメージトレーニングを通じてアスリートは、試合のシミュレーションだけでなく、運動感覚を研ぎ澄ませていくのです。
リハビリテーションでもこの原理を利用して、運動感覚が低下した手足を動かす際は
イメージトレーニングを行ってから運動を行うようにするなどの手技が開発されています。
「コミュニケーション」では、出来るだけイメージや想像がしやすい表現を用いることで、
伝えたいメッセージを届けやすくするスキルが多く開発されており、
セールス・コピーライティング・コーチングなどの分野で用いられています。
たとえば、セールスの場面を例にとると・・・
「このパソコンは画像処理能力が高く、音質にもこだわって作られています。映画鑑賞には十分なスペックです」
と言うのではなく、
「このパソコンは画像処理があっという間なので、色鮮やかな映像を楽しんでいただけます。また、クリアで重厚感のある音域を表現できるスピーカーも内蔵されていて、パソコンを通じての映画鑑賞でも十分スリリングな体験ができますよ!」
と表現した方が聞き手にイメージが伝わりやすく、イメージが伝わった結果、
商品に興味を持ってもらいやすくなるのです。
『脳は想像を現実と認知する』理論を用いて、イメージに働きかけるコミュニケーションが 効果的であると少しでも感じてもらえたでしょうか?
このポータルサイトを見てくださっているあなたは、 この理論を用いたコミュニケーションスキルに興味があるのではないかと思います。
このポータルサイトでは、このようなコミュニケーションスキルやその前提知識を たくさんシェアしていますので、一緒に学んでいきましょう。 そして、実際の現場で活用していただければ嬉しいです!
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