脳の癖を活かしたコミュニケーションとは

省略・歪曲・一般化を利用したコミュニケーション

 

人間は、体験したこと・知覚したことを脳内で言語化することで、 体験や知覚を定義づけ、判断することが出来るようになります。

たとえば、沸騰したお湯を触ってしまったとき、 皮膚で感じた温度感覚は脳内に伝達され、

温度感覚は、「熱いっ!!」と言語化されます。 その後、「これはお湯だ!!」と言語により判断・定義づけが行われるのです。 こうして、私たちは言語化を通じて世界を経験することが出来るのです。

そして、脳には体験や知覚を言語化する際に・・・

@体験の一部のみを言語化するので、その他の部分は削除される『省略・削除』

A体験の言語化の過程で、その人特有の思い込みが入り込む『歪曲』

B1つの事例をすべてであるかのように表現する『一般化』

という特有のクセが3つあります。 ※詳しくは『体験の言語化がもたらす3つの問題』を参照してください!

今回は、この脳のクセである『省略・歪曲・一般化』を利用したコミュニケーションの概要を紹介します!

脳は空白が大嫌い!

先日、私が訪問リハビリに伺った際に、
利用者様のお孫さんと話す機会がありました。
今年から女子大生になったと利用者さんから聞いていたのですが、
お会いするのは初めてでした。

若い女性とお話するのが苦手な私は、彼女に軽く会釈だけしました。
彼女も私に気づくと、ちょこんと頭を下げてくれました。
一瞬の間があってから、「あの・・・っ!ちょっといいですか?」と彼女が声をかけてきました。
そして、小走りでこちらまで駈けてきました。

彼女は、私の目をまっすぐに見つめたかと思うと、次の瞬間には
とても恥ずかしそうな様子で、手で真っ赤になった顔を隠しながらも話しだしました。

『男性のリハビリの方にこんな話をするのは、恥ずかしいんですけど・・・。でも、どうしても聞きたくて・・・』

 

おっと、すいません!話がそれましたね!ごめんなさい!!
それでは、『省略・歪曲・一般化』を用いたコミュニケーションに話を戻しましょう。
『省略・歪曲・一般化』には共通点があります。それは・・・


あっ、もしかして、さっきの話の続き気になります??

「別に知りたくもないけど、そこまで話聞いちゃったから、最後まで聞かせて!」
って感じでしょうか?

あなたが、こんな気持ちになるのには理由があります。
それは、『脳は情報が不足していることを嫌う』という特徴があるからです。

脳は、得られると思っていた情報が得られないと、
不足した情報が知りたくて知りたくて・・・、いわば欲求不満になるのです。

この脳の特徴を活かしているのがテレビドラマです。
事態が急展開を迎えたり、続きが気になる状況を作りだしたりして、
CMを挟んでもチャンネルを変えられないようにしているのです。

また、次週の予告では
視聴者に新しい謎を提示したり、びっくりするような展開を匂わせることで
『ええっ!いったいどういうこと?どうなるの??続きがみたい!』という心理状態を作り出します。

CM前の展開にしても次回予告にしても、
視聴者の脳に『情報の空白』を作りだし、『空白を埋めたい願望』を喚起しているのです。

情報の空白が埋まらない・・・その時、脳はどうするのか?

脳が受け取った情報に空白があったとき、脳は情報を補いたい欲求に駆られます。

このとき、脳は・・・
@自分以外の誰か・何かによって情報を補ってもらう

A自分自身によって補う(推測する)

の2つの選択肢のどちらかを選びます、
そして多くの場合、Aの『自分自身によって補う(推測)』を人は選びます。

さきほどの私がお孫さんから話しかけられた例では、
あなたは、『お孫さんは何を聞きたかったのだろう?』と疑問に思い、
「もしかしたら恋愛相談かな?」、「進路の相談?」、「はたまた、〇〇だったりして!?」
と考えを巡らせて、情報の空白を補おうとしたかもしれません。

省略・歪曲・一般化を利用したコミュニケーションとは

冒頭で説明した、『省略・歪曲・一般化』には共通点があります。
それは、3つとも体験の言語化の過程で、「情報の空白」が生じているということです。

たとえば、何気なく聞き逃しそうな言葉でも、じつは様々な「情報の空白」があるのです。
(省略・削除)
「なんか良い匂いしない??」→「(カレーみたいな食欲をそそる)なんか良い匂いしない??

(歪曲)
「私って愛されてるなぁ!」→「(みんなに笑顔で挨拶されるなんて)私って愛されてるなぁ」

(一般化)
「いつもダメ男を好きになる」→「(元カレに浮気されて、今の彼氏と音信不通なので)いつもダメ男を好きになる」

そして、あなたは無意識に『情報の空白』に気づき、無意識に自分で情報を補っています。
「なんか良い匂いしない??」の例で言えば、
「どの・何の匂い」のことを指しているのか「情報の空白」が存在しています。

そのため、あなたも「良い匂い」とは何なのかを探そうとします。
その時、たまたま焼肉の匂いがしてきたらどうでしょうか?

きっとあなたは、
「そうだね!(焼肉みたいな)良い匂いするね!」と言うでしょう。
この瞬間こそ、あなたが情報の空白を推測で補った瞬間であり、
ミスコミュニケーションが発生した瞬間でもあるのです。

『省略・歪曲・一般化』を利用したコミュニケーションとは、
『脳は情報の空白を推測によって自分で補う』という特徴を利用するために、
あえて省略や歪曲、一般化を伴った表現をすることを言います。

『省略・歪曲・一般化』を伴った表現は、情報の空白を含みますから、
相手の人は情報の空白を補う作業を行うことになります。

そして、なにより重要なことは、
『自分で推測して、自分で補った答えの説得力は強力である』ということです。
人に「焼肉の良い匂いするよね?」と言われるより
「焼肉の良い匂いがするなぁ」と自分で答えを出した方が自分自身に対する説得力が強いのです。

『省略・歪曲・一般化』を利用したコミュニケーションスキルとは具体的には、こんな感じです。

「君が今、困難を感じながらも取り組んでいることは、かならず人生の財産になるからね」

この表現では・・・

「取り組んでいるモノ」とは具体的に何か
「人生の財産」とは具体的に何か

があえて『省略』されています。

省略されているため、聞き手は自分の経験に当てはめて、言葉を受け取ります。
たとえば、
「今、私が苦労している部下とのコミュニケーションは、将来、人材育成スキルとなって役立つんだな」
といった具合に、その人に合うように都合よく翻訳されて受け取られるのです。

さらに言えば、

「今、私が苦労している部下とのコミュニケーションは、将来、人材育成スキルとなって役立つんだな」

と自分で答えを出したので、自分自身に対する説得力は強力になります(自己暗示の一種であるとも言えます)。

『省略・歪曲・一般化』を利用したコミュニケーションの全容

『省略・歪曲・一般化』を利用したコミュニケーションのテクニックは数が多いです。
他のページでテクニックを解説していきますが、私自身テクニックを学びながらその全容が分からず
「自分は今、なんのテクニックの勉強をしているんだ?」と迷子になりました(汗)

あなたには、私のように迷子にならず、
最短・最速で効率的に学びを深めてもらいたいので、以下にテクニックの全体像を示します!
迷いそうになったら、この図に立ち戻ってテクニックの全容と自分が学んでいるものの
関係を把握するようにしてくださいね!


今回は、『省略・歪曲・一般化』を利用したコミュニケーションの概要と、
その前提知識となる脳の特徴をご紹介しました。

『今回、ご紹介した知識を定着させて、学びを深める準備ができたでしょうか?』

詳しいテクニックは他のページに紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね!

(追伸)
あっ!!お孫さんに話しかけれられたエピソードは、フィクションです!
気になっていた方がおられたら、ごめんなさい!!

 
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